›11 14, 2007

秘密の結婚

 チマローザの『秘密の結婚』(1792年、ウィーンで初演)は間違いなく傑作だ。このオペラはスタンダールが愛好していたことで知られ、ほとんどスタンダール絡みでしか語られることがない。それも、スタンダールがあたかも血迷ったかのように語られる。スタンダールはモーツァルトをも熱烈に愛した。そして、シェークスピアも。後者の二つはスタンダールの正当な評価で、チマローザに対しては時間の審判によると誤った評価、過大な評価を与えたと言われるようである。現に多くのスタンダール研究者が『秘密の結婚』に対して、否定的な態度を取る。  しかし、これは全く間違っている。ぼくの観察によると多くのスタンダール研究者には音楽的センスが欠けているため、チマローザを音楽家辞典かなにかで少し調べ、彼を勝手に三流作曲家と決め込み、そうした先入観から『秘密の結婚』を聴くのである。もともと、音楽的センスがないのだから、先入観を捨て去ることが出来ない。そして、こんな風に書くのだ。 「思ったよりは、楽しく聴くことが出来た」「意外にも、美しい音楽がところどころにあり、うんぬん」  全く馬鹿げた話しだ。『秘密の結婚』の音楽は全て美しく、情感に溢れていて、オーケストラの伴奏も同時代のパイジェッロなどと比べると、とても充実している。  ちなみに、チマローザの有名な音楽としてはレクイエムもあるが、この曲もオペラ的でとても美しい。モーツァルトの宗教音楽とは対比をなすものだ。


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