›8 29, 2006

まね

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 ペリカンの万年筆は書きやすいけど、インクがすぐになくなる。2、3日でカートリッジが空になった。
 安いから同じ型で他の色のも買おうと思って今度は有隣堂に行って買ってきた。緑。かなりかわいい。インクの出方が前に買った赤いのとぜんぜん違うのはどちらが正常なんだろう。緑のは書くときに、力が要る。インクも薄い。安物の万年筆なんてこんなものだと諦めるべきか、有隣堂に行って見てもらうか、どうでもいいことを悩んでいる。
 万年筆なんて買ったのはある本のサブノートを作ろうと思ったからだ。書き写すなんて、無駄で馬鹿げたことだと思っていたんだけど、マルクスは『経済学・哲学草稿』でアダム・スミスの著書を丹念に引用して、研究している。ほとんど抄本といった感じだ。
 それに、尊敬する丸山先生は、師の原稿を必死に清書しているうちに、文章の書き方を覚えたという。
 そういえば、長唄だってそうだった。小三郎全集を耳にタコが出来るほど聞いた。息づかいや、勢い、間など、天才の演奏だから当然自分では再現出来ないけれども、知らないところはないんじゃないかというほど聞いていた。重箱の隅をつつくような細かいところまで。浄観師のノリの変化、かけ声などは、なにか芸術的な意図があるに違いないと特によく研究した。
 そしてぼくが演奏するときは、自分が浄観になった気で弾いていた。演奏前に一杯やるなんてことまでまねしたことがある。
 そんなこともあって、文章の美しい人の学術書のサブノートをペリカンの万年筆でしこしこと書くのが、最近の楽しみ。

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