›3 02, 2005

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 においのする音楽、ある色と強く結びついた音楽、そういうものが誰にでもあるのかわからないけど、ぼくはモーツァルトのバイオリン協奏曲第三番を聞くと、嗅覚と視覚が刺激される。この曲は中学生の頃、よく聞いていた。中学生くらいだと、感覚も鋭敏というか、独特のものがあって、そのころ聴いていた音楽というのはおしなべて、耳にのみ訴えるのではなく、色彩やにおいを想起させる。
 眠れないとよくこの曲の第二楽章を聞いた。平凡なたとえだが、天上の調べだ。短いトゥッティがこの楽章のテーマを示す。するとソリストがあたかも天使が舞い降りてきたかのように、あるいは、プラトンのイデアはここにあると密かに、しかし、切実に訴えているかのように、バイオリンを奏ではじめる。オーケストラとソリストとの関係は親和的、調和的、かつ、緊張している。
 この第二楽章は青を想起させる。澄み渡った青空よりも、小風吹く大洋の青よりも、さらに青く、美しい青。ぼくはそんな青を見たことがないが、この音楽がその青の存在を教えてくれる。

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