›4 24, 2004

素敵な俳人

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 ギャンブル好きな俳人は言った。インターネットのやりすぎで岩窟王。そのほかにもラ・ミゼラブルだとか罪と罰だとかユリシーズだとかわめいていたが、どういった文脈で、どのような手法を持って世界の文学を当人の心的状態のたとえとしているのか、皆目見当がつかなかったので、忘れてしまった。なにやらいろいろとものを書いて2年で100万円貯めたという。エッセイだとかモニター報告だとか俳句だとか幕末の志士への思いを込めたクロスワードパズルだとか。
 かの俳人はその前から書くことが好きだった。若い頃、真田広之を愛してしまい、あまりに好きなので、三日三晩眠れなかった。恋しくて恋しくて、彼以外のことを考えられなかった。椀久のようなものだ。そうしてその恋慕を原稿用紙に向かって綴り始めた。ファンレターを書こうというのだ。ふつうは原稿用紙にファンレターを書かない。かわいい便せんかなにかに書くのではないかと思う。俳人は机に座り原稿用紙にファンレターを一気呵成に書き上げた。枚数にして50枚。そこで本人もなにかおかしいと思ったらしい。これを送りつけてもどうせ捨てられるだけだ。それなら文学界新人賞に応募しよう。大きな封筒に文学界新人賞担当係と宛名を書くと胸のつかえが取れた。それから真田広之のことはすっかり忘れてしまった。ついでに恋するこころも忘れた。
 さて、俳人は文筆稼業で稼いだ100万を元手に株を始めた。とりあえず買ったさくら銀行の株が3倍、つまり300万になったわけだった。いまはライブドアの株を狙っている。これからはITの時代だと思っている。
 パチンコが好きだ。よく行くのは池袋や駒込。たまに足立区まで遠征する。あの雑踏がたまらない。うるさくて、思考が停止しそうなのに、活発になったりする。打ちながらメモをとる。たまにいい言葉が浮かぶ。いい言葉が浮かないときもメモをとる。300回転で当たったとか。それにあの音楽に洗脳される自分の意識の変移がたまらない。あの音楽に乗ってわたしはお札をどんどんつぎ込む。一番負けたのは一日に13万。派遣OLの仕事が終わると自然と足がパチンコ屋に向かう。やっと手にした職。でももう辞めようと思っている。パソコン出来ないから。面接の時、エクセル出来ますか?と聞かれた。エクレアですか?おいしいですよね、と答えた。パチンコ屋にはひとつ言いたいことがある。「パチンコ」という名称は品がないからやめて欲しい。これからどうするのと尋ねられたとき、パチンコに行くと答えるのは何とも間抜けでいやだ。もっと品のある、美的な名前がいい。たとえば、「エカテリーナ」とか「ボローニャの森」とか。これからエカテリーナに行くの、と言えば、なんだか気分もいい。
 かの俳人に俳句を教えてくれと頼んだ。とっておきなのをまずひとつ。いわく、
遠花火 少女まんがの 恋終わる
 これが某新聞に載って1万円に拝謁したそうだ。他にも教えてくれと言ったが、本にしてもうけるからその前に手あかが付くと困るのでだめだと言われた。


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